農村・山村・漁村に暮らす「買物に困っている人々(買物弱者)」をサポートする「買物支援プロジェクト」

農山漁村 買物支援プロジェクト

一般社団法人 日本食農連携機構 / 財団法人 流通経済研究所

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取り組み事例で見る3ステップ

取り組みの背景/集落の状況

大分県中津市耶馬渓町では、市町村の合併に伴って農協も合併され、地域にあった農協売店「Aコープ」が閉店してしまい、徒歩圏内に食品や日用品を買うことができる店舗が無くなってしまいました。 その結果、買物をするためには車で20~30分はかかる中津市街に行かなくてなりませんでした。また、売店が閉店したことにより、地区の中心になるものが無くなってしまい、住民から「置き忘れられたような気持ちになった」という声があがっていました。

店舗を作った「売店の跡地」

ステップ1 困り合う寄り合いをしよう

ステップ1-(1) NPO法人を結成
大分県中津市耶馬渓町では市町村合併に際し、住民の有志が自ら町づくりを考えるグループを結成して議論を重ねていました。困っている住民の声を受け、そのグループの中の6名が中心となり、「住んでいる側」からの町づくりを目指すための組織(NPO法人)を結成しました。
有志を集めて組織化する
ステップ1-(2) 店舗運営を検討
農協売店の跡地は、集落の中心になりうる立地であったことから地域の拠点を作る意味でも、農協売店跡地での店舗運営を検討しました。
取り組みの基本構想をまとめる
ステップ1-(3) 説明会・相談会を実施
農協跡地の取得に伴い、近隣の集落に対して説明会・相談会を実施。その結果、農協の元職員やガソリンスタンド店主など新たに4名の住民の参加を得ることができました。
地域(住民)の参加を促す

ステップ2 取り組みの全体像をまとめよう

ステップ2-(1) 卸売業から商品供給
店舗運営にあたり、商品の仕入れが必要になることから、中津市内のスーパーに割引価格で商品を分けてもらえないかを交渉。しかしスーパー側が難色を示したため、実現できませんでした。そこで、農協売店時代に取引のあった卸売業から商品を供給してもらうことになりました。
他の団体との連携を目指す
ステップ2-(2) 委託販売団体と連携
店舗の開店に向けて具体的な計画を立案。開店資金調達を住民からの出資を得て行おうとするものの、やはり住民の積極的な協力を得ることは難しい状態でした。 そこで取り組み組織の中心メンバーの1人が、自身のコネクションで農産物を委託販売する団体と連携、今回立ち上げる店舗で農産物の集出荷を行うことを提案しました。
具体的な計画を立案する

「農産物の委託販売仲介」というアイデアを元にステップ2-(1)に立ち返ります

ステップ2-(1) 他のNPO法人との連携
農産物を委託販売する団体(NPO法人)と連携。立ち上げる店舗で委託販売の仲介を行うことにしました。
他の団体との連携を目指す

農産物の委託販売の仲介を踏まえ、ステップ1-(3)に立ち返ります

ステップ1-(3)

周辺住民に出資協力
継続して説明会を実施、なかなか参加を得ることが難しかった住民も農産物の委託販売の窓口になるということがきっかけとなり、取り組みへの賛同者、協力者が増加しました。最終的には店舗の立ち上げにあたり、出資を住民から得ることができました。

近隣スーパーで販売される「ノーソンくらぶ」仲介の直売野菜


現在、「ノーソンくらぶ」を運営するNPO法人の会員は周辺住民を中心に約80名、会員から入会金2,000円、年会費1,000円を負担してもらっています。 出資してもらうことにより、より積極的に店舗運営に参加してもらえることも分かりました。

地域(住民)の参加を促す

ステップ3 取り組みの立ち上げと運営・発展

ステップ3-(1) 初期費用削減で運営開始
店舗は競売で理事の1人が落札して取得していたため、有志の出資等で集めた40~50万円は主に初期商品の仕入れに使用。また、什器や内装については理事の1人が大工であったことから、DIYにて作成し、初期費用を節約しました。また、店内に談話ができるギャラリースペースを作り、 住民の交流拠点にしました。雇用面では、以前の農協売店で働いていた女性を店長に抜擢して運営を開始。店長は謝礼は出るものの、半分ボランティアで運営を行なっています。
取り組みの立ち上げ
ステップ3-(2) 運営から7年、地域住民のサロンへ
2009年度の実績は年間364万円の売上。一時は肉や魚も取り扱いましたが、売れ残った場合の損失やリスクが大きく現在は取り扱っていません。生鮮食品などのデイリー食材は、個人が運営している移動販売車に任せています。「ノーソンくらぶ」運営から7年たった今、地域住民が動き出し、高齢者を集め、「ノーソンくらぶ」内の談話スペースで弁当を食べてコミュニケーションを図るようなサロンを始めることになりました。また継続的な運営を目指し、高齢である現店長の後継者探しと地域に住む若い人を増やすための活動を実施していく予定です。 手づくりの内装什器・ギャラリースペース
取り組みの運営・継続・展開